「医療幻想」を読むぞ(読後) [雑感]
前回取り上げた、本。
結構売れているのか、本屋で見つけられなかった・・・
と言う声もfacebookには上がっていたけれど、
僕の近所の本屋さんで、難なく見つけることができ、読みました。
タイトルに添えられた、「思い込みが患者を殺す」とは、
さてどういうことなんでしょう。
で
読書メーターの感想にも書いたんだけど、
まず、本の構成が悔やまれた。
好意的にとらえれば、この本は問題提起の本。
今の医療の陰陽を対比させ、医療について考えてもらいたい、
そんなモチベーションがあり書かれている、かな。
でも、俗っぽい見方をすれば、数ある医療を語る金儲けのための本の一つ。
タイトルしかり、問題提起に割くページの割合しかり。
センセーショナルな話題を振りまき、耳目を集める。
著者の意図か、出版・編集者の意図か・・・。
この本の著者は、何を読者に伝えたいんだろう。
思いを伝えることの手段が本の出版であるなら、
数あるレビューを見る限り、失敗している。
この本を読むと、僕の考えはどう変わるのだろう?
一つ考えさせられたことは、健康診断のレントゲン。
定期的なレントゲン検査による被爆のリスクが挙げられていた。
ただ被爆と発ガンの因果関係も明らかになっているのか?
イギリスでの研究で、
「レントゲン検査に寄る被爆が原因とされるがん患者」
が特定されているようだ。
これこそ眉唾じゃないか?
がん患者のうち、特にレントゲン検査の回数が多かった人はいただろう。
でも、それが原因でがんが発生したなんて、どうして言えるのか。
レントゲン検査の回数が多くても、がんにならない人の率は調べたのか。
結果の考察と、因果関係の特定に飛躍はないのか。
また、多いっていうのはどれくらいなんだろう。
この下りは、自分の主張に都合のいい根拠を、
精査しないで引っ張りだしているように見えます。
とは言え、傾向があるならちょっとは考えないとなぁ、
と思った次第です。
EBM(エビデンス(証拠)に基づく医療)を標榜する著者だけど、
「思い込みが患者を殺す」そんなエビデンスは見つからなかった。
この本、かなり乱暴な物言いが散見されるし、
決して愉快痛快というわけではないので、
あまりオススメはできません。
読むなら、ホントかな、と疑ってかかって下さい。
情報リテラシーって、大切なことだと思います。
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